悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
「ごめんなさい、ヴィルヘルム様」

 謝ることしかできないなんて。

「俺も、ごめん。池の方に行ってみよう。睡蓮が美しく咲いたとルイーザが言っていた」
「……はい」

 ヴィルヘルムの手は、レオンティーナを離したりなどしない。
 いつか、この人にすべてを語ることができるのだろうか。けれど、レオンティーナはその答えを持ち合わせてはいなかった。
 

 ◇ ◇ ◇

 

 今日は、御前会議の日だ。
 緊張のせいか、このところよく眠ることができなくて、レオンティーナは起きたばかりでも疲労を覚えていた。

(……また、あの夢を見た)

 自分が死を迎える現場など、何度も見たいものではない。
 けれど、このところ、レオンティーナの見る夢は、処刑台の上に立った日のことが大半を占めていた。
 遠くからでもレオンティーナを射抜いていたあの目。レオンティーナが皇妃だった時代に国を訪れたアーシア国王ファブリス。

(……怖い)

 彼が、今、何を考えているのか知る術をレオンティーナは持たなかった。だからこそ、怖いのだ。
 彼が、これからどう動くのか予想できないことが。

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