悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 自分でも説得力がないことくらいわかっていた。きっと、ヴィルヘルムはレオンティーナのことを怒っているだけではない。
 レオンティーナが、秘密を抱えていることを彼は知っている。

「近頃の君はおかしい。最初は、俺達との関わりが君の負担になっているのではないかと思っていた。だが、そういうわけでもなさそうだ。となると、他に何か理由があるのではないかと考えるのが普通だろう」
「私は! 自分にできる限りのことをしようと――」

 そう反論しかけたけれど、レオンティーナの言葉は途中で切れてしまった。
 自分の発言に説得力がないことを、レオンティーナ自身がよくわかっていたから。
 ふっと息をついたレオンティーナは、ヴィルヘルムから視線をそらした。ついで、彼の手から腕を引き抜く。

「君は、君がやらなくてもいいことまでやろうとしている。それはなぜだ?」

 ヴィルヘルムは知っている。かつて、レオンティーナは自分が皇帝になりたいと――そう思っていたことを。
 まだ、あの時の野心そのままだと――そう思っているだろうか。

(ヴィルヘルム様になら、話しても大丈夫かしら……)

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