悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 だが、国王となってからの彼は、二度、この国を訪れただけ。一度は、この国の皇帝――当時はアンドレアスであった――に挨拶をするため。そして、もう一度は皇族の処刑に立ち会うためだ。
 当時のレオンティーナは、何ひとつ功績など上げていなかった。それどころか、レオンティーナがやったのは、国を滅亡に導くことだけ。

(……この人は、何を言おうとしているの)

 ファブリスの言うことに、耳を傾けてはいけない。警(けい)鐘(しょう)は頭の中でがんがんと鳴り響いているのに、ダンスフロアに引っ張り出されていては、逃げることもできなかった。

「……皆が、力を貸してくれたからです」

 ファブリスに取られている手は、冷たくなっていないだろうか。どうにかして、この場から逃げ出すことができればいいのに。

「――それは、ないな。俺だって馬鹿じゃない。この国のことについては、きちんと調べたんだ」

 その言葉に頭から水を浴びせられたような気がした。

(いえ、今まで気がつかなかった方がどうかしているのよ)

 自分の国の今後にも関わってくるのだから、他国の情勢にも気を配るのは当然のことだ。
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