悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
「それは十回目の時だね。この時には、当時今のターナジアの近くに住んでいた少数部族が、敵に味方したんだ。今、その少数部族は、住まいを移しているけれど――ターナジアの中に、ヘイルダート王国につく者がいるかもしれない。その時には、アンドレアスの身柄をどうするかも考えないといけないと思う」
「では、こう、南から回ってきたとすれば」
「過去の戦では、正面からぶつかり合っていた。数を揃えられるのであれば、それでもいいと思うけれど――この川をわたって、敵の背後に回るというのはどうかな。七回目の戦いで、使われた手だ。この時にはまだ、ウルスラは今ほど栄えていなかったけれど」
皇帝は言葉を発することなく、ヴィヘルムは矢継ぎ早に問いを重ねる。彼の指が地図上のあちこちを押さえ、それに対して、ギルベルトはよどみなく返していく。
それからも問答は続き、最終的にヴィルヘルムは大きく息をついて問うのをやめた。
「父上。実際に軍を動かすのも、最終的な判断を下すのも、専門家に任せましょう。ですが、俺が行くより、ギルベルトが行った方が、よほど役に立ちそうです」
「では、こう、南から回ってきたとすれば」
「過去の戦では、正面からぶつかり合っていた。数を揃えられるのであれば、それでもいいと思うけれど――この川をわたって、敵の背後に回るというのはどうかな。七回目の戦いで、使われた手だ。この時にはまだ、ウルスラは今ほど栄えていなかったけれど」
皇帝は言葉を発することなく、ヴィヘルムは矢継ぎ早に問いを重ねる。彼の指が地図上のあちこちを押さえ、それに対して、ギルベルトはよどみなく返していく。
それからも問答は続き、最終的にヴィルヘルムは大きく息をついて問うのをやめた。
「父上。実際に軍を動かすのも、最終的な判断を下すのも、専門家に任せましょう。ですが、俺が行くより、ギルベルトが行った方が、よほど役に立ちそうです」