悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
「……アーシア王国への使者を誰にするか迷っていたんだが、これで問題ないですよね。父上」
「ああ」

 こうして、皇宮に残っている三人の皇子のうち、ふたりの行く先が決まったのだった。
 

 ◇ ◇ ◇

 

 ヴィルヘルムとギルベルト、ふたりがそれぞれの目的に向けて出立していってから、一週間ほどが過ぎた。

「……お兄様、うまくやってくれるかしら」

 ルイーザに呼ばれて、皇宮を訪れていたレオンティーナの前で、不意にルイーザはそう口にした。

「大丈夫だと思いますが……ファブリス陛下との交渉ですよね? お話の通じない方ではないと思いますし、門前払いをくらわされるようなことはないでしょう」

 ヴィルヘルムが交渉に赴いているのだから、話すら聞いてもらえないということはないはずだ。だが、ルイーザは首を横に振った。

「お兄様……今回の交渉、反対してらしたのよね。私は別にかまわないと思ったのだけれど」

 レオンティーナは、交渉の内容自体聞いていなかった。それは、関わるべきことではないと思ったからだ。
< 221 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop