悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 たしかに言われてみればそうであるけれど、レオンティーナの頭からは完全に抜けていたのだ。

「で、でも……ルイーザ様が……」
「私が、そうしたいと思ったのよ。お兄様も、ギルベルトお兄様も、あなたも。自分にできる限りのことをしているのに、私には何もできないんだものね。あなたと一緒に勉強しておけばよかったわ」

 レオンティーナが、皇宮の図書館に通っている間、ルイーザは皇女としての役割を果たすのに忙しかった。
 けして彼女は遊んでいたわけではないのに、そんなことを言う。

「御前会議に参加したこともなかったし……でも、思ったの。ファブリス陛下を抑えたいのならば、私が行くのが一番早いんじゃないかって」
「ルイーザ様を犠牲にするんですか……」

 そっとレオンティーナの目に、ルイーザのハンカチが触れる。

「馬鹿ね」

 ルイーザは笑った。
 その笑みは、レオンティーナが見たルイーザの微笑みの中で一番素敵なものであった。彼女は、何も心配などしていない。

「犠牲になるんじゃないわ、私が望んで行くの。だって――」

 レオンティーナの間近まで顔を寄せ、ルイーザはひそひそとささやいた。

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