悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
「……愛されていないのはわかっていたけれど、国境を越えて嫁いだ。皇子をふたり産んで、最低限の義務も果たしたわ。そこで、我慢すればよかったのかしら」
「……我慢?」

 窓の外を見つめる彼女の瞳にうつっているのは、現実の景色ではないようだった。どこか遠くを見ているようなまなざしで彼女は続ける。

「息子を次期皇帝にしたい――そう願ったのは、間違いだった?」
「……それは」

 レオンティーナは言葉を失ってしまった。それについて、レオンティーナは何か言える立場にはない。

「でもまあ、いいわ。私は国に帰るの。息子達も一緒にね。この国に息子達はいらないとあの人は判断したのだから、連れて帰ってもいいと思うのよ」

 それきり、ハルディール夫人はレオンティーナのことなど忘れたかのように再び窓の外に目を向ける。レオンティーナは、静かに彼女を見守る。

(……ターナジアに着くまで、気は抜けないわね)

 侍女としてついていくのだから、できる限り快適に過ごしてもらいたい。レオンティーナにできることはそう多くないだろうけれど。

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