悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く～破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます～ ２

「そ、それは……わかりません……」

　ハルディール夫人の問いに、使用人は首を横に振る。
　行方不明となったアンドレアスについては、現在も捜索が続いている。だが、彼が発見されたという報告はまだなされていない。
　そう、とまたハルディール夫人は興味がないかのようにうなずいた。
　それから、すぐに休むので浴室に支度をすること、夕食は軽いものを部屋に運ばせることなどいくつかの命を下す。
　彼女の命令に完璧に対応して、自分の部屋に入り、レオンティーナもようやくほっと息をつくことを許された。レオンティーナが滞在するのは、ハルディール夫人の隣の部屋だ。

（……アンドレアス殿下は、今、どこで何をしてらっしゃるのかしら）

　考えるのは、久しぶりに皇都で顔を合わせた時の彼のこと。少なくとも、この地での生活をより豊かなものにしようと心がけているように見えた。
　この地でも、最初はロアの流行りでも特に華やかな衣類を身に着けていたのに、皇都を訪れた時には、上質ながらも落ち着いた雰囲気のものに変わっていた。
　この地に、根をおろして生きていく。彼のその変化を、レオンティーナはそうとらえていたのに……。