悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 これだけ皆が必死に探しているのに、行方が知れないということは、どこかで事故にあったのということなのだろうか。

(……いえ、そうでなければ)

 ここに来るまでの間、幾度も同じようなことを考えたけれど、それでもやめられなかった。
 誰かが、アンドレアスを暗殺したということも考えられなくはない。だが、今さらアンドレアスを暗殺したところで何になるというのだろう。彼の継承権ははく奪されている。
 狙われるのなら、ヴィルヘルムかギルベルト――年は離れていて、次代皇帝の候補者としては弱いユリウスもいる。
 だが、彼らの身には変わったことなど何ひとつ起きていない――少なくとも、レオンティーナがハルディール夫人と共に皇都を旅立った時はそうだった。

(いえ、今考えても仕方ないわね)

 アンドレアスの捜索については、ハルディール夫人をザリロッド王国に引き渡してから考えよう。
 明日に向けて、英気を養っておかなければ。

(ヴィルヘルム様……私、大丈夫よね……)

 自分で自分の身体を強く抱きしめるようにする。ここに、ヴィルヘルムがいてくれたらいいのに。

 ◇ ◇ ◇

 

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