悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
ハルディール夫人引き渡しの場に選ばれたのは、屋敷の庭だった。
ザリロッド王国から訪れたのは、三名の貴族である。
(……ハルディール夫人を無事に引き渡したら、私の仕事は終わりなわけだけれど……)
今日の夫人は、元皇妃という立場を考慮してか、特に華やかなドレスを選び美しく装っていた。背筋はぴんと伸び、レオンティーナのよく知る皇妃としての雰囲気を取り戻したようだ。
「では、こちらの書類に署名を」
ハルディール夫人の付添人として、皇都から赴いた貴族が、ザリロッド王国側の差し出した書類に署名をしようとした時。
その場の雰囲気が変わった。こちらに悠然と近づいてくる足音。振り返ったレオンティーナは驚愕した。
「……アンドレアス殿下!」
「母上。こちらに来てください」
口元には穏やかな笑みを浮かべたアンドレアスは、ここが皇宮であると錯覚しそうになるほど優雅だった。身に着けているのは、彼がターナジアで過ごすようになってから着用するようになった上質ながらも飾りの少ないデザインのものであるにもかかわらずだ。
彼の姿を認めたとたん、ハルディール夫人はぱっと表情を明るくした。
ザリロッド王国から訪れたのは、三名の貴族である。
(……ハルディール夫人を無事に引き渡したら、私の仕事は終わりなわけだけれど……)
今日の夫人は、元皇妃という立場を考慮してか、特に華やかなドレスを選び美しく装っていた。背筋はぴんと伸び、レオンティーナのよく知る皇妃としての雰囲気を取り戻したようだ。
「では、こちらの書類に署名を」
ハルディール夫人の付添人として、皇都から赴いた貴族が、ザリロッド王国側の差し出した書類に署名をしようとした時。
その場の雰囲気が変わった。こちらに悠然と近づいてくる足音。振り返ったレオンティーナは驚愕した。
「……アンドレアス殿下!」
「母上。こちらに来てください」
口元には穏やかな笑みを浮かべたアンドレアスは、ここが皇宮であると錯覚しそうになるほど優雅だった。身に着けているのは、彼がターナジアで過ごすようになってから着用するようになった上質ながらも飾りの少ないデザインのものであるにもかかわらずだ。
彼の姿を認めたとたん、ハルディール夫人はぱっと表情を明るくした。