悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く～破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます～ ２

「アンドレアス！　迎えに来てくれたの？　ザリロッド王国で待っていると思ったのに！」
「殿下、これはどういうことですか！」

　ハルディール夫人に向かって手を差し出したアンドレアスに向かってレオンティーナは叫んだ。
　行方不明となり、皆が大騒ぎして探していたのだ。今、どうして彼がここにいるのだろう。
　レオンティーナがとめるのも聞かず、ハルディール夫人はアンドレアスの元についた。ザリロッド王国の者達が、恭しく頭を下げる。

「なに、母上の国からお迎えが来たというだけのことだ。お前は気にしなくていい」

　ハルディール夫人の手を取り、こちらを向いたアンドレアスの表情は、どこか悲しげにも見えた。

（アンドレアス殿下は、国を裏切ったの……？）

　レオンティーナが声を上げようとした時、ハルディール夫人が叫んだ。

「アンドレアス！　その娘を殺しなさい」

　アンドレアスがゆっくりと視線を巡らせる。レオンティーナは、凍り付いたかのように動けなかった。
　レオンティーナとハルディール夫人をここまで護衛してきた騎士達が、レオンティーナをかばうように立つ。