悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く～破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます～ ２

　皇帝と面会したその場で、アンドレアスは、ハルディール夫人が母国に帰りたがっていることを告げた。ザリロッド王国が、自分とベルンハルトを利用しようとしていることも。
　ハルディール夫人が、せっせと母国と連絡を取っているという話は、皇帝の耳にも入っていた。ザリロッド王自身はハルディール夫人に協力するつもりはなかったらしいのだが、やはりすべての貴族の行動を抑えることはできなかったらしい。
　ハルディール夫人を引き取りに来たのは、現在宮中ではあまり恵まれていない立場にある者達のようだ。アンドレアスかベルンハルトを次代ヴァスロア皇帝とすることにより、帝国で甘い汁を吸うことを望んでいたようだ。

「父上も、今回のことはすべて知っている。ザリロッド王国とは、いい交渉ができると思うよ」

　そう口にして、ヴィルヘルムはにっこりとする。いい交渉というのは、『ヴァスロア帝国にとって都合のいい』という意味だろう。
　それにしたって、気になることがある。

「アンドレアス殿下は、行方不明ではなかったのですか」