悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く～破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます～ ２

「ハルディール夫人を外に出す理由は必要だったからな。今回の件、裏で一番動いていたのはアンドレアスだったというわけだ」

　アンドレアスは身を隠している間、ザリロッド王国に向かい、密かにハルディール夫人の兄、現在のザリロッド国王と会ってきたらしい。
　アンドレアスは、本当に変わったのだろうか。
　彼の、ハルディール夫人には生きていてほしいという願いが、レオンティーナにはよく理解できた。

「でも、どうしてザリロッド王国はハルディール夫人を取り返そうとしたのでしょう。今、行動を起こす理由なんてない気がするのですが……」
「国に帰りたい母上が計画したことだからな。ザリロッド国王は、乗り気と言うわけではなかったんだ。母上の暴走といった方が正解だ。まったく、余計なことばかりする――あの人は」

　いきなりアンドレアスの声がして、レオンティーナは飛び上がった。

「――殿下！」
「そちらはもう片付いたのか」

　ヴィルヘルムが、アンドレアスに目を向ける。アンドレアスは肩をすくめた。