悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 彼の胸に顔を埋めてしまったレオンティーナの「はい」という返事を、ヴィルヘルムは聞き逃さなかったようだ。
 背中に回された腕にますます力が籠められる。
 この先、どんな困難が待ち受けていようとも、ヴィルヘルムと一緒ならば乗り越えていける。この瞬間、強くそれを実感した。

「レオンティーナ・バルダートは、人の美点を見出すのが非常に巧みであった。彼女によって見出された人材は数知れない。その名をあげるとすれば、ユエラ伯爵夫人が筆頭となるだろう」

 こう書き残したのは、ギルベルト・ベルンシュタインである。第四皇子のギルベルトは、シャンテール大公家に婿入りしたのち、宰相の地位についた。
 帝国中興の祖とたたえられた皇帝を支えた逸材として、自身の名もまた後世に残っている。
 また、幼い頃より学術に優れ、特に歴史研究に情熱を注いだ彼は、歴史学者としても偉大な功績を残した。
 だが、ギルベルトが最も多く筆を執ったのは、同じ時代を生きたレオンティーナについて書き残す時であった。
 自身の功績により、女性としては初めて爵位を賜ったレオンティーナ・バルダート。
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