悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 ヴィルヘルムは、レオンティーナの名を呼ぶのと同時に足をとめた。こちらを振り返ったかと思ったら、繋いでいなかった方の手がレオンティーナの腰に回される。
 一瞬力が入り、次には唇が触れ合わされていた。レオンティーナは息をつめた。
 繋いでいる方の手には力が入りっぱなし。心臓の音は耳の奥でやかましいほどに鳴り響いている。

「こ、こんなところで――!」

 唇が離されるなり、レオンティーナは声を上げた。
 きっと、今の自分は林檎よりも真っ赤になっている。軽やかに笑って、ヴィルヘルムはレオンティーナを引き寄せた。

「見える範囲には、誰もいないから大丈夫」
「そういう問題ではありません……!」

 たしかに、近くに人はいないだろうけれどそういう問題ではないのだ。
 真っ赤になっているレオンティーナの耳元でヴィルヘルムはささやく。

「今の君は、とても可愛い」
「なっ……なっ……」

 いつの間に、こんなことをさらりと言うようになったのだろう。頭がくらくらして、言葉が上手に出てこない。それ以上何も言えなくなってしまった。
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