悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 けれど、ふたりの間の甘ったるい空気。それは突然の乱入者によって破られる。

「お兄様、レオンティーナ、どこにいるの?」

 木の陰から聞こえてきたのは、ヴィルヘルムの妹であるルイーザの声だ。まだ、ふたりがここにいるのには気づいていないようだ。

「ここだよ、ルイーザ」

 レオンティーナを抱えていた手を素早く離し、繋いでいた方の手はそのままに、ヴィルヘルムはルイーザに声をかける。

「こんなところにいらしたの。レオンティーナ、私ともおしゃべりをしましょうよ。ソニアに、私の分の席も用意してもらったから」

 明るい金色の髪にリボンを飾ったルイーザは、ヴィルヘルムとよく似た容姿の持ち主だ。前世では、お互い相手のことを嫌っていたが、今は違う。ルイーザは、レオンティーナの親友だ。
 明るい空色の瞳が、ヴィルヘルムとレオンティーナの繋いだままの手にとまる。

「あら、私……邪魔をしてしまったかしら」
「いえ、そんなことは……」

 ヴィルヘルムとの関係については、もちろんルイーザは知っている。けれど、わざわざ彼女の前で見せつけるようにするのは少し違うのではないだろうか。

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