悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
「……久しぶりにレオンティーナに会えたのにな」
「あら、それなら私、引き上げるけど?」

 ちょっぴり残念そうにヴィルヘルムは言い、ルイーザはそんな兄をじろりとにらみつける。慌てた様子で、ヴィルヘルムは手を振った。

「人数が多い方が楽しいと思うよ。レオンティーナもそう思うだろう?」
「はい!」

 ルイーザはヴィルヘルムより自由になる時間が多いため、しばしば大公家の屋敷を訪れているが、せっかく会えた親友との時間も大切にしたい。それに、ルイーザと一緒にいる時のヴィルヘルムの表情を見るのも好きなのだ。兄の顔は、レオンティーナには見せないものだから。

「今日は、チョコレートケーキを焼いてもらったのよ。急ぎましょう。私、先に行くわね」

 わざわざふたりを探しに来たくせに、ルイーザはぱたぱたと走り去ってしまう。ひょっとしたら、これ以上ふたりの時間を邪魔しないようにしてくれたのかもしれない。
 

 ◇ ◇ ◇

 

 レオンティーナの想いとは裏腹に、御前会議で発言する機会にはなかなか恵まれなかった。
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