悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 ヴィルヘルムとも御前会議の場で顔を合わせる機会はあるが、直接話をする機会はほとんどない。
 皇宮の図書館に行ったけれど、集中できずに外に出た。図書館の外に出たところには、休憩用のベンチがある。

(わかってはいるのよね……ヴィルヘルム様もお忙しいんだし)

 ヴィルヘルムとの関係は非常に複雑だ。
 双方相手のことを憎からず思っているし、年頃も家柄も問題ない。だが、レオンティーナが皇帝に目をかけられているという点が問題なのだ。
 前世から引き継いだレオンティーナの記憶は、皇帝の目には才(さい)覚(かく)として映るようだ。後継者にレオンティーナを嫁がせ、帝国を盛り立てようとしているという噂もある。
 レオンティーナとヴィルヘルムが結ばれたなら、ヴィルヘルムが未来の皇帝に限りなく近づいてしまう。彼が、それを望んでいるのかどうかがレオンティーナにはわからない。

(……ヴィルヘルム様は、皇帝という地位には固執していないけれど)

 ヴァスロア皇帝は五人の皇子に恵まれたが、そのうちふたりは帝位継承権を失っている。
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