悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 そして、ヴィルヘルムと同じ母を持つ弟はまだ十歳であるから、今のところはまだ、後継者の対象から外れている。御前会議に出席していないのもそのためだ。
 もうひとり、愛(あい)妾(しょう)の産んだギルベルト皇子。彼もまた継承権を持ってはいる――けれど。

(あの方は、歴史を中心としたご自分の研究に忙しいものね……)

 ギルベルトは義務として御前会議に参加しているが、それだけ。積極的に政務に携わろうとはしない。となると、一番、次の皇帝に近いのはヴィルヘルムだろう。
 以前、レオンティーナは自分が帝位を目指すつもりであった。未来を知っている分、誰よりも上手にこの国を治めることができるはずだ。
 実際、少し前まではうまくいっていた。
 レオンティーナの発案により、病の駆除にも、飢饉の回避も成功した。レオンティーナを殺そうとしていた皇妃もその地位を失い、今は前皇妃――ハルディール夫人と呼ばれている――である。

(……けれど、現実はそんなに甘くはないわ)

 未来が大きく変わった今、レオンティーナは年相応の娘でしかない。御前会議に出席することはできても、発言の機会にもなかなか恵まれないのだ。

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