悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 よくやっているなんて、そんな誉め言葉、今のレオンティーナにはふさわしくない。けれど、ギルベルトは首を横に振った。

「それは、僕も同じだからね。ヴィルヘルムとは大違いだ」

 そう言った時、ギルベルトの目になんとも説明しがたい表情が浮かんだのをレオンティーナは見逃さなかった。

「ですが……」

 金の髪を持つ兄弟の中で、ギルベルトだけは違っていた。母親の髪の色を受け継いだのだろう。五人の皇子のうち、彼だけが黒に近い暗い色の髪だ。
 レオンティーナの髪色は漆黒だが、彼の髪はそこまで暗い色ではなく。光に透かすと、少し茶色がかって見える。
 よく鍛えているヴィルヘルムと比較すると、一回り細い。けれど、母親の美しさを受け継いだ整った顔立ちに、優しい茶色の瞳。穏やかな雰囲気は、貴公子という言葉がふさわしい容姿の持ち主だ。

「ヴィルヘルムも、君も、すごいよね。僕は、政治はまったくわからない」
「そんなことありません!」

 ここが図書館の側だということを忘れて、大きな声を出してしまった。自分の行動に気づいて、耳まで真っ赤になる。

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