悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 そんな彼の論文の中には、レオンティーナが欲しがっている情報もあるのではないかと思ったので、昔彼の論文を集中的に読み込んだことがある。

「五百年前の市の成り立ちについては、とても参考になりました。バルダート領の中のとある町の再開発を行った時、殿下の論文にあった考えを元に都市計画を立てました――いえ、立てたのは父ですが」

 レオンティーナは、十二歳の頃から領地の経営をある程度任されていた。
 本来ならば、父のこの行動は常識外れのものである。誰が、十二歳の少女に領地を任せようと思うだろう。だが、父はレオンティーナを見込んで任せてくれた。
 もちろん、任されていたとはいえ、最終的な決定は父が行うものも多かった。領民の生活に悪影響を及ぼすわけにはいかないからだ。
 大規模工事等はレオンティーナに任せるのではなく、父が計画を立てた。レオンティーナは、事前に情報を調べる作業を手伝っただけである。
 ギルベルトの研究は、どのようにしたら人が市に集まってくれるだろうということを考える時に役に立ったと父は言っていた。
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