悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く～破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます～ ２

　十五という年齢にしては、少し大人びて見えるかもしれない。
　ヴァスロア帝国史上初、自らの功績によって爵位を賜った才女。それが周囲のレオンティーナに対する評価であった。

「少し、緊張されているようですね」
「緊張もするわ。だって……皆が私に注目しているでしょう。失敗はできないもの。お父様に恥をかかせてしまうわ」
「レオンティーナ様なら、大丈夫ですとも！」

　ソニアは力強く断言した。
　ソニアは、レオンティーナの忠実な侍女だ。親のいない子供を育てる養護施設から、腹心の部下とするためにレオンティーナが引き取ったのは七年前のこと。
　当時は文字の読み書きさえ満足にできなかったけれど、レオンティーナの教育により、今ではどの貴族令嬢にも負けないほどの教養を身に着けている。
　明るい茶色の瞳が、レオンティーナを力づけるように煌めいた。黒い制服に白いエプロンという使用人の格好をしていても、彼女の可憐で清楚な美しさは隠すことができない。
　実際、近頃では、彼女に文を送ってくる若い貴族や役人がいるという噂もレオンティーナは知っていた。