悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 以前は、皇帝一家に嫁いでバルダート家は親戚に継がせるか、三大大公家のうちいずれかから婿(むこ)をもらって婿にあとを継いでもらうかの二択しかなかった。
 だが、跡取りのできた今、家格の釣り合いの取れている家であれば、レオンティーナが嫁ぐことに大きな問題はない。
 そんなことから、皇帝の覚えがめでたいレオンティーナになんとか取り入ろうとする貴族も最近は増えている。
 緊張のためか、まったく眠気はやってこない。横たわった胸の上で両手を組み、天井を見上げながら考える。

(でもまだ、この国の危機自体は去ったとはいいがたいわよね……)

 ヴァスロア帝国は、豊かな国力を誇ってはいたが、実のところゆっくりと滅亡に向かっていた。
 国中を襲った病。それに続く大飢(き)饉(きん)。
 多数の人が命を落とし、国力が弱ったところを隣国に攻め込まれ、滅亡した。
 だが、それは、レオンティーナによって今のところは回避されている。
 病は、特効薬を見つけ出すことで。
 大飢饉は、痩せた土地でも育つ作物の栽培に成功したことで。
 なぜ、レオンティーナがそんなことをできたのかと言えば、前世の記憶があるからだ。
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