悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
 かつては、こうやって感情をあらわにするルイーザが苦手だった。
明るく華やかな美貌を持つルイーザを太陽、冷たく硬質な美貌を持つレオンティーナを月と例える者も多かったからかもしれない。
 だが、今はその率直なところを好ましく思うのだから、人間は変わるものなのだろう。うろたえている三人を見て、ルイーザは少しばかり留飲を下げたようだった。

「アンドレアスお兄様のところに行くんでしょう? 心配にもなるわよ」
「心配性なんだな、ルイーザは。ヴィルヘルムが一緒にいるんだから、そこまで心配する必要はないだろうに」

 ギルベルトの言葉に、しぶしぶといった様子を見せながらも、ルイーザの雰囲気が和らぐ。
以前は、ギルベルトとヴィルヘルムの間には心の距離があった。だが、最近はこうしてギルベルトがヴィルヘルム兄妹のところを訪れることも増えている。

「ギルベルトお兄様、ユリウスの相手をしてくださる?」

 この場にいないユリウスは、ヴィルヘルムとルイーザの弟だ。ひとり年が離れていて、まだ十歳なので、今は家庭教師についての勉強時間だ。

「うーん」

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