年下ピアニストの蜜愛エチュード
「ちあちゃん、アンジェロがチャオチャオのジェラート買ってきてくれたよ!」

「ありがとう。お帰りなさい、アンジェロ」

「ただいま。啓一さんがよろしくって言ってた。たまには千晶も店に顔を出してくれって」

 アンジェロがジェラート入りの袋をかざしながら、にっこり笑う。

 クルクルと渦を巻くアッシュブラウンのショートヘア、少し緑がかった紅茶色の瞳。彫りが深くて端整な、けれどもどこかあどけない顔立ち――千晶を見つめているのは、リビングにたくさんあるCDのジャケットと同じ笑顔だ。

 あんまりしあわせ過ぎて、たまに全部夢なのではないかと疑いたくなる時もある。

 だが、そんな時はなぜか必ず抱き締められ、困ってしまうくらい繰り返し口づけされてしまうのだ。もちろん順がいるから、あくまで軽いキスだけれど。

 それにアンジェロはその後で、順へのハグを欠かないし、「大好きだよ」と伝えることも忘れない。

「ティ・アモ、僕の千晶」

 今も広い胸に引き寄せられて、千晶は微笑みながら、落ちてくるキスに応えた。

              ーFINE-            
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