年下ピアニストの蜜愛エチュード
 それでも確かにアンジェロの言うとおりだった。

 彼の目的はあくまで健康診断で、ここへは千晶とおしゃべりをしに来たわけではないのだから。

 リラックスさせるどころか、よけいな雑談のせいでアンジェロを不快にさせてしまったかもしれない。マイナスの感情が検査結果に反映したらたいへんだ。

(どうしよう?)

 千晶はなんとか雰囲気をやわらげ、状況を改善しようとした。

 しかし一連の検査こそ無事に終わったものの、アンジェロはろくに口もきかず、二度と笑顔を見せないまま、健診センターを後にしたのだった。
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