可愛くないから、キミがいい【完】
「しゅう、今、駅ついたって」
やっぱり、今日はインテリ君とだけ連絡先を交換することにしよう。
勝手にしゅう君がイケメンじゃない説を決め込んでインテリ君の隣に並んだら、彼は黒縁メガネの奥で嬉しそうに目を細めた。
確か、彼の名前はあおい君だ。
「あおい君だよね?よろしくっ、」
「ん、あおいでいいよ。つーか、まじで可愛いな。可愛すぎて、緊張する」
「へへ、そういうこと言われると照れちゃうからダメ!それに、みゆもドキドキしてるよ?あおいくん、かっこいいし頭よさそうだもん」
服の袖をさりげなく引っ張って、ふんわりと笑えば、あおい君の頬がほんのり赤くなった。
結構すぐに攻略できそうかもしれない。だって、彼、もう落ちかけている。
賢そうな見た目のくせに、中身は単純おバカなのかもしれない。すぐに騙されてしまうタイプ。
そんなことを考えながら、しばらくあおい君と話していると、「しゅう遅いぞ!」とやんちゃ君が私たちの後ろに向かって大きな声を出した。
反射的に振り向く。
「悪い。遅れた」
たった今まで、みんなで待っていた男の子が、ようやく来たようだった。
なんとなく視界にいれたその姿に、心臓がドクン、と大きな音を立てた。
髪の毛は色素の薄い黒髪で、ツーブロック。毛先をゆるく遊ばせている。目つきは悪いけど、とてもきれいな二重で、形も綺麗だ。
顔の輪郭もしゅっとしている。
何より少し鷲鼻なところが最高だ。
―――どうしよう。かなりタイプな人がきた。
スタイルもいい。
180センチくらいあると思う。
間違いなく今いる四人の中で一番かっこいい。最近、私のことを振った人より、かっこいいかもしれない。
オマケに、チャラチャラもしていないし、落ち着いている。
私の理想を全てクリアしてくれていた。