可愛くないから、キミがいい【完】
「……景品なのに、いいわけ?」
「なにが?」
「あめ」
「別に。スタンプラリーとかは回るのが楽しいから景品は別にいい」
「さっきは、がっかりしてたくせに」
「でも、元々もらえたもんはお前にあげるつもりだったけどな。一緒にまわってくれて助かったし」
「……あっそうですかーだ」
「何、その返し。ウケる」
「一つもウケないし。………ていうか、最初に会ったときは素っ気なくしてきたくせに、なんか今日とか、この前もだけど、和泉君、みゆに慣れ慣れしい」
ふは、って吹き出すような笑い声が頭上で聞こえたから、また、むかっとくる。
周りに人がいないことを確認してから、横腹を抓ってやった。
「最初に会ったときはお前にドン引きしてたからな。今は、慣れ慣れしいっつーか、慣れたんじゃねーの」
「……みゆに、溝に落とされて頭変になったんじゃないの」
「はは、そうかもな」
馴れ馴れしい笑い方。
そのまま、三つ編みに触れられる。
人の髪の毛を触る癖本当になんとかした方がいいと思う。触んないで、って言ったら、きれーな三つ編み、とゆるい口調で返事をしただけで、手は離してくれない。