可愛くないから、キミがいい【完】
本当に、私のこと好きなの?
なんてね。
「……そんなわけないもん」
「なに?」
「離してって言ってんの。なんで、みゆの髪触ってくるわけ?」
「髪フェチだから」
「はあ?キモチワル、みゆそういうのムリ」
なでるような変な触り方をしないでほしい。
他の男の子がそういう風に触れてきたら、それはそのまま好意だと受け取れるけれど、この人の場合は違うのだ。
意味が分からないものはいらないし、和泉しゅうにもらいたいものなんてひとつもない。
きつく睨んだら、ようやく和泉しゅうは私の髪の毛先から手を離した。
そのまま、しばらく二人並んで校内を歩く。
意味の分からない時間。
生産性も、メリットもまるでない。
こころはそわそわ、むずむず、落ち着かない。
初めて会ったときからずっとそうだけど、和泉しゅうといると自分のペースをくずされる。天使にとって、これは本当によくないことだ。
歩きながら、口の中の飴がなくなったら和泉しゅうと解散しよう、と決める。