可愛くないから、キミがいい【完】






『この前は、悪かった』

「………は、」

『嫌なこと、いっぱい言って悪かったよ』

「………何なわけ」

『これでも、反省してんだよ。色々考えてたら結構時間たってた。泣かせて、ごめん』

「……意味わかんないし」



ベッドの上、毛布にくるまりながら膝を抱えこむ。


どうしろっていうんだろう。

今更謝られたって戸惑ってしまうだけだ。

どういう気持ちになればいいんだろう。



今、ほんの少しだけ泣きそうになっていることも、ずっと心を支配していた灰色の気持ちがちょっとだけ消えてしまったことも、ぜんぶ。


意味が分からないから、やっぱり、この電話なんて切ってしまいたい。




『怒ってんの?』

「……別に」

『何。全然、別にって声じゃねーだろそれ』


本当に切ってしまいたいと思ってるのに、どうして、一向に通話終了のボタンを押せないのか、自分でも分からなくてお手上げだ。





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