可愛くないから、キミがいい【完】





『なあ、怒ってる?』

「だから、怒ってないって!」

『本当のこと言って』

「本当に、怒ってないし。……あんた、しつこいんですけど」

『いや、怒ってろよ。……で、来週の土曜日お前に許してもらうっていうプランがこっちにはすでにあんだよ』

「はあ?」



ぐん、と下手くそな咳払いが画面の向こうで聞こえてくる。咳払いまでもが、愛想悪くて、和泉しゅうらしい、なんて思ってしまった。

そのまま変な間があいたかと思ったら、クリアじゃない声が耳に伝ってくる。



『来週の土曜、お前、暇?』



思考が一瞬停止した。

何を私に聞いてるの?


質問の意味は分かる。来週の土曜日、暇にしているかって聞かれている。だけど、どうしてこの人がそんなことをわざわざ聞いてくるのかが不可解で仕方ない。




< 121 / 368 >

この作品をシェア

pagetop