可愛くないから、キミがいい【完】




「興味ないんじゃないわけ?それに、本当に下手なんだけど」

「ほしいならあげてもいいけどってお前が言ったんだろ」

「エアドロップで送ってあげるくらい、みゆできるからね」

「いや、これで十分」



ほら、行くぞ、と、携帯をポケットに戻して、エリア内のアトラクションがある建物の方へ歩き出してしまった和泉しゅうの隣に慌てて並ぶ。


偉そうな男。アトラクションのことしか、あんまり考えていないのだと思う。


待っている間に、SNSに投稿してしまう。

並んでいる列の前後はどちらも子ども連れの親子だったから、無理に美男美女としてのマウントをとるかのように仲良しアピールしなくてもいいと思った。どうせ、こんなところに家族で来てる人たちのほうが幸せだ。



投稿したら、すぐにくるリアクションと、『彼氏できたの?』という個人メッセージの数々。

そのどれもに半分満たされながら、曖昧な返事をしている隣で、和泉しゅうは、携帯を横にして何やら動画を見ていた。



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