可愛くないから、キミがいい【完】
「で、何が食いたい?」
「……なんだか、意外にも、みゆらしくないけど、塩ラーメンの気分」
品がないような気がして、最初に言い訳のような言葉を並べてみたけれど、和泉しゅうはそのことには一つも触れずに、「オッケー」と頷いて、店の方へ行ってしまった。
少し不安げに、きゅるんとした瞳であたりを見渡してみる。見てくれに気をつかっているかっこいい男の子にだけ、笑顔を振りまいてあげた。
誰かにナンパされているところを見れば、和泉しゅうも、改めて、私がどれくらい可愛いと思われてるのか理解せざるをえなくなるのでは、と思ったけれど、結局、両手に湯気ののぼるラーメンと、大きなパフェを持って、すぐに和泉しゅうが戻ってきたから、思惑はあっさりと打ち砕かれてしまった。
とん、と、テーブルの上、私の前にラーメンのうつわが置かれる。
キャラクターが描かれた可愛い陶器。なるとには、テーマパークのロゴも描かれている。
「ありがとう」と一応小さな声でお礼を言ったら、「おー」と素っ気ない返事をされる。
和泉しゅうは、パフェを自分の前に置いて、うまそ、と小さな声で呟いた。
桃の乗った美味しそうで可愛いパフェ。
スプーンを手にもって、さっそく食べ始めようとする和泉しゅうに、すんでのところで待ったをかける。