可愛くないから、キミがいい【完】
食べ終えた後は、別のエリアに移動していろいろなアトラクションに乗った。
歩いている途中で、写真スポットを見つけたら、その都度たくさん写真も撮った。
お気に入りのキャラクターとのツーショットも、和泉しゅうに頼んで撮ってもらった。
あんまり上手じゃないし、一枚はなぜか内カメになっていて、和泉しゅうのゲンナリとした顔のドアップだった。
楽しませる、と言われて、和泉しゅうに楽しませてもらっているかは全くもって定かではないのだけど、違う男の子とテーマパークへいくのとは180度違う感覚で、私は十分に楽しんでしまっていたのだと思う。
髪が乱れるのが嫌だと思いながらも、和泉しゅうが乗りたかったらしい絶叫系にも二回付き合ってあげた。
天使モードじゃないのに、優しくできるなんて、本当にすごいことだ。
お昼前に来たはずなのに、気が付けば日は傾いていて、マイルドなお化け屋敷を出たときには、あたりはすっかりと夜の雰囲気へ変わっていた。
人も、お昼よりは少なくなっている。
表情を取り繕う必要も、和泉しゅうに無駄な気をつかう必要もなく、ただ隣を歩く。
今、隣で、和泉しゅうが何を考えているかなんてちっとも分からない。可愛いとか好きとかそれ以外にどう思われているかに関しては、男の子の気持ちを今まであんまり想像したことがないから。
だけど、ちら、と見上げれば。
薄暗い中でも、退屈そうにしている気配は見受けられず、やっぱり瞳はパーク内の明かりで心なしかきらきらしているように思えた。