可愛くないから、キミがいい【完】




好きなように生きている気がする。


そんなんだから、甘いものを好きに食べることもいとわないし、私のことを天使扱いできないし、ホラー映画が苦手なんて言えてしまえて。

他人にどう思われるかは、どうでもいいんだ。


その自由さは一種の攻撃だと思う。その攻撃への防御の仕方が、私、あんまり分からなくて、嫌になる。





ライトアップされたお城の前。

ロマンチックに映れるような場所を見つけて、その前に立つ。



和泉しゅうには、フラッシュをたいて、写真を撮ってもらうことにした。

やりにくそうに、私の携帯を横にして、ダルそうに写真を撮ろうとする姿は、若いどこかのパパみたいで変だった。



「どう? 和泉くん、上手に撮ってくれてる?」

「おー」

「指とか、入らないようにしてよね」

「うるせーな、黙ってなんかポーズとれよ」

「きめすぎたら駄目なの」

「とりあえず、その、わざとらしい照れ笑いはやめろ。フラッシュ炊いてるから、余計に不気味だから」



可愛い笑顔を浮かべているつもりだ。

そんなのも分からないなんて、呆れてしまう。




< 161 / 368 >

この作品をシェア

pagetop