可愛くないから、キミがいい【完】
好きなように生きている気がする。
そんなんだから、甘いものを好きに食べることもいとわないし、私のことを天使扱いできないし、ホラー映画が苦手なんて言えてしまえて。
他人にどう思われるかは、どうでもいいんだ。
その自由さは一種の攻撃だと思う。その攻撃への防御の仕方が、私、あんまり分からなくて、嫌になる。
ライトアップされたお城の前。
ロマンチックに映れるような場所を見つけて、その前に立つ。
和泉しゅうには、フラッシュをたいて、写真を撮ってもらうことにした。
やりにくそうに、私の携帯を横にして、ダルそうに写真を撮ろうとする姿は、若いどこかのパパみたいで変だった。
「どう? 和泉くん、上手に撮ってくれてる?」
「おー」
「指とか、入らないようにしてよね」
「うるせーな、黙ってなんかポーズとれよ」
「きめすぎたら駄目なの」
「とりあえず、その、わざとらしい照れ笑いはやめろ。フラッシュ炊いてるから、余計に不気味だから」
可愛い笑顔を浮かべているつもりだ。
そんなのも分からないなんて、呆れてしまう。