可愛くないから、キミがいい【完】




「……ほんとにセンスないからね」

「何回言えば気が済むんだよ、めんどくせえな」

「……でも」

「なに?」

「ありがとうは、ちゃんと、みゆ、思ってるし」



そんなに礼儀がないわけじゃないんだから。

ゆっくりと写真から目を逸らして顔をあげたら、思ったよりも至近距離でぱちんと目が合ってしまい、驚いた。



やはり、この男、何度も言うように、顔だけはとてもいいのだ。


慌てて、俯いて距離をあける。

今日はずっと、私らしくいなかったから、こういうときだって、私らしくできない。


携帯を和泉しゅうの手から奪って、鞄にしまう。

もう一度、顔をあげたら、まだ、じっと和泉しゅうは私を見ていた。




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