可愛くないから、キミがいい【完】
「なんなんだよ、お前」
顔をのぞきこまれる。
計算のけの字もみせずに、至近距離でまた目を合わせてくる。
別に、と言いたかった。
それだけど、「みゆも、悪かったのに」と、口が勝手に言葉を滑らせていた。
ずっと、言いたくて、言いたくなかったこと。
もやもやとしていたこと。
言い出してしまえば、もう止められない。
「だって、利用したんだもん。みゆは、他の特定の誰かのために、利用されることが大嫌いなのに、しちゃったんだもん。和泉くんに、ひどいこと言われたことは嫌だったし、泣いちゃったけど、でも、ほんとはやっぱり、みゆも、あんなに人がたくさんいるところでキスしたのは、本当にだめだったって、今はちゃんと思ってるのに、」
「のに?」
「和泉くんが、自分だけが、悪いみたいな態度でずっといるから、そうじゃないのにって思って、もやもやする」
「は?」