可愛くないから、キミがいい【完】
目じりの皺にホッとしてしまう。和泉しゅうの態度は、私をバカにするでも、呆れているでもなく、ふうん、と思った。
ふうん、こういう優しい顔もするんだ、って。
みゆは、別に、どうでもいいけど、が、なぜか、続けられなかった。
「広野」
「……なに?」
「俺は、残念ながら、お前のおかげで、今日は楽しかったけどな」
「……ふうん」
「好きにできた?」
「見てて分からなかったわけ?」
「いや、好き放題してたな。写真じゃ、全然わかんねーけど」
「それで、いいんだもん」
「うん、それでいーんだよ」
「…………」
「まあ、SNSな、くだらねえと思うけど、大事なら大事にすればいいんじゃねーの。でも、そんなことしなくても、お前は大丈夫だと思うぞ」
そう言って、和泉しゅうがほんの少しだけ笑う。
それから、ぽん、と手のひらを私の頭にのせてきた。
一瞬のことだったけれど、触れられるなんて思わなくて、予期していなかった心が不自由に動く。