可愛くないから、キミがいい【完】





そして数秒後に、ゲ、と明らかに顰められた顔。



何なわけ、と、背伸びをして画面をのぞき込めば、私の目の高さまで下げてくれる。

すぐに確認すると、本当に、ゲ、と言ってしまいたくなるような事実が表示されていた。




「まじか」

「何なの。和泉くんのせいだと思う」

「どんなだよ。電車止められる力あったら、なんでもできて仕方ねえわ」




電車のマークに、赤い点滅。それから『再開の目処は立っていません』の文字。


一駅前で大きなトラブルがあったみたいで、そこを通過する電車はすべて止まってしまっている。

どうやら、ネットニュースにもなっているみたいで、結構大ごとだ。



さっき、お城の前で自分の気持ちを伝えてしまったから、あとからじわじわ複雑な気持ちになってしまっていて、本当はもうきっぱりと今日はサヨナラをしてしまいたかったのに。

どうすればいいんだろう。




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