可愛くないから、キミがいい【完】
駅のロータリーにくるバスもタクシーも、大勢の人が待っていて、追いついていない状態だ。
朝、和泉しゅうと待ち合わせをした△駅まではとてもじゃないけれど、歩ける距離にない。その駅を通る線もこのあたりにはない。
一番まずいのは、自分の住む街の最寄り駅へ行く電車の終電は23時だということ。
本当にどうすればいいんだろう。
少し、頭が混乱してきてしまう。
――――もしや、これ、帰れないのでは?
最悪な未来が頭によぎったのと、「もしかしたら、つーか、たぶん、お前、門限までに帰れねーぞ」と和泉しゅうが言ったのはほぼ同時だった。
今日は、一日、楽しかった。
それは、さっきもう、認めてしまった。
だけど、そんなことは置いといて、混乱した頭では、やっぱり、和泉しゅうという男が疫病神であるような気がしてきてしまう。