可愛くないから、キミがいい【完】





不運に不運は重なるものなんだって知っているけれど、神様は、同情とか配慮をもう少し覚えるべきだと思う。不幸の連鎖は、映画のなかだけでいいのだ。


仕方がないからと、パパにも電話をかけてみたけれど、こちらもママと同じく、一向に繋がる気配がなかった。




落胆しながら、和泉しゅうの元へと戻ると、ちょうど、「じゃあ、また連絡するわ」と電話を切るところだった。


どうだった? という風に首を傾げられたので、「繋がらない」と答える。


これじゃあ、私の方が両親からの放任主義にさらされているみたいだ。

なんて、思っていたけれど、和泉しゅうは親にかけたわけではなかったらしく。




「ちょっと歩いたところに、俺のいとこのマンションあるけど。大学生だから、一人暮らしな」

「え、」

「今、電話したら、狭くていいならいーよって言うし、俺ら、泊めてもらうか?」



どうせ、明日、日曜だろ、と和泉しゅうは平気な顔して言う。どうしてこんなに大変な状況で、ひとつも取り乱したりしないのか、不思議で仕方がない。



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