可愛くないから、キミがいい【完】




「ちょっと、みゆは恋愛休憩中かも。今はあんまり、気が乗らなくて」

「ふぅん? 珍しいね~、みゆは、なんだかんだいつも彼氏いるし」

「そんなことないよー?」

「でも、告白はされてるんでしょ? みゆがフリーだったら、男はほっとかないでしょ」



確かに、告白は何度かされている。

だけど、すべて首を横に振っていた。


あんまり好みじゃない人たちだったというのもあるけれど、たぶん、好みの容姿をした男の子であっても断ってしまっていたと思う。


隣において、ステータスになるような男の子がいい。可愛いって言ってくれる、私のことが大好きな、かっこい男の子がいい。

それなのに、今は、自分からそういう男の子に手を伸ばすような気持ちにもなれないし、とてもムカつくけれど、それどころではないというのが正直なところだった。



「ぜんぶ、断ってるんだよね、……そういう気分になれなくて」

「えええ、みゆどうしちゃったの?」

「本当だよ~、マユもミーナもいいなぁ。みゆも、恋したいもん」



なんて言った瞬間、和泉しゅうの憎たらしい、目つきの悪い笑い顔を思い出してしまって、あやうく溜息をつきそうになった。


このままだと、本当によくない。


どう見せたら可愛いか、どうしたら男の子は自分を好きになってくれるかを計算して、天使としての自分を今までずっと貫いてきたのに、剥がれていってしまっているような気がする。





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