可愛くないから、キミがいい【完】
「ん、っ、………っ、」
舌を絡めとられて、
後ろにゆっくりと押し倒された。
そのまま、しばらく、溺れてしまうみたいな深いキスを続けていた。
酸素が不足して、ぼんやりとしていく頭でも、
やっぱり、私は、考えている。
私と、和泉しゅうのこの関係は一体、何なのか、と。いつまで、続けるつもりなの。ずっと、このままではいられないんじゃないの。なんて。
聞けないから、ずっと、考えている。
和泉しゅうは、私のことが、好きだから、
私にキスをするのだろうか。
「っ、ねえ、」
「……………なに」
「本当に、ムカ、ついてる、から、」
「ん。……分かってる」
そうだったらいいと、いま思ってしまっている。
でも、この私では、
好きになる要素が、どう考えてもないのだ。
可愛くもない。文句しか言わない。
可愛くいなかっただけだったのに、
いつの間にか、可愛くいられなくなっている。
思考は、何度も何度も同じところを行ったり来たりしていて、堂々巡りだ。