可愛くないから、キミがいい【完】






それからも、また、和泉しゅうに誘われて、
放課後、何度かふたりで会った。


キスはする。
だけど、それ以上は、しない。

和泉しゅうが、何を考えているのかは、
いつだって分からない。



聞けないのは、相変わらずで、聞けないまま、自分では抗えない気持ちが膨らんでいってしまうのが苦しかった。

このままではだめなのに、このままがずっと続くならそれでもいいのかもしれない、なんて、中途半端なことを考えてしまう。

そんな自分が臆病でとても嫌だった。


いつの間にか、和泉しゅうなんて一番ありえないはずだった男のことばかり考えている。

それ以外の男の子とは、遊ぶことも、まめに連絡もとることもできず、付き合ってもいない相手ひとりに意識を集中させてしまっているのなんて、初めてのことで。


メッセージのやり取りは、必要最低限で、電話がかかってくることもない。

一度、電話はしないのか聞いたら、「だって、すぐに会うだろ」と偉そうに言われた。


< 249 / 368 >

この作品をシェア

pagetop