可愛くないから、キミがいい【完】
この前、ミーナとマユには濁したけれど、ずっと誤魔化し続けるのにも無理があるだろうし、もうそろそろ、この三人には言うべきなのかもしれない。そう思いながらも、どう言葉にすればいいのか分からなくて、「うーん、どうだろうなあ」と、テーブルに頬杖をついて考えているふりをする。
そうしていたら、なほちんが何かを思い出したのか、「そういえばさ、」と再び口を開き、携帯を取り出した。
「私たち、東高の男子と合コンしたじゃん?」
「ああ、みゆが旭くんと別れたから開催したやつね。そこで、私はトシ君と出会ったんだった」
「もーう、ミーナひどいよ、その言い方」
むうっと唇を尖らせて、怒ったふりをする。
“旭くん”という言葉には、もう心が揺れることはない。
本当に、どうでもよくなっているのだと思う。
九割がた、和泉しゅうのせいだ。
というか、その合コンがどうしたというのだろう。
続きが気になって、なほちんをじっと見つめる。
「そこに、和泉しゅうくんって男の子いたの覚えてる?」
和泉しゅう。
その名前に、ドキリ、と心臓が音を立てる。
不自然じゃないように、笑いながら、頷いた。