可愛くないから、キミがいい【完】
ふー、と息を吐いて、ベッドの上で仰向けになる。
大丈夫、可愛いのだから、これからは、大丈夫なの。自分で自分に魔法をかけるように、ゆっくりと瞬きをしながら、傷ついたこころの部分に頑丈な今日も蓋をする。
宿題も学校ですませてしまっていたし、何もすることがなかったので、パパとママが帰ってくるまで一眠りしようかと思ったけれど、眠ったら、夢の中に憎むべき男がひょっこりと現れるかもしれないと思ったら怖くなって、結局、録画していたドラマをリビングで見て過ごした。
何かが不足している感覚に襲われている。
だけど、足りないほうがいいこともある。
いらないものを手繰り寄せて、大切にしようとしたから、うまくいかなかった。
裏切られて、傷つけられるくらいなら、足りないほうが、いい。
呪いでもいいから、そう思い込んでいたい。