可愛くないから、キミがいい【完】
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「みゆ、元気だった?」
約束の日。
校門のところで、唯人君が待っていてくれた。
ちらちら、と好奇の目線を感じる。唯人くんがかっこよくて、私が可愛いからだ。美男美女だと思われたいし、羨ましがられたい。
久しぶりの唯人くんは、相変わらず爽やかで、清潔な雰囲気をまとっていた。整った塩顔は健在で、前に会った時と違うのは、茶色かった短髪が黒色になっていることだけだった。
そばにいって、にっこりと笑う。
「あんまり元気じゃなかったけど、唯人くんに会えたから元気になれました」と、喜んでもらえるような返事をする。二週間も返事を返さなかったくせに、なんていって、唯人くんは私を責めたりしない。
「俺も、元気になった。相変わらず、みゆ、可愛いね」
頭を撫でられたから、少し照れたような表情をつくって、目を伏せた。
どうしたら可愛いと思ってもらえるか、どうしたらもっと好きにさせることができるか、そういうことをたくさん考えながら、男の人とちゃんと接するのは本当に久しぶりだったけれど、思った通りの反応が返ってくると、やはり嬉しいのだった。
というよりも、気持ちが良くて、満たされる。
この満足感を、欲していたい。