可愛くないから、キミがいい【完】
8.有るが儘プリンセス
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唯人君とは、それからも、放課後や休日に何度か会った。
キス以上の行為を受け入れることはずっとできなくて、だけど、そんな私に、唯人君は嫌な顔をすることもなかったし、告白の返事の催促をしてくることもなかった。
「可愛い」と「好きだよ」の言葉や態度をたくさんくれるだけだ。
早く決断しようと思っているのに、なかなか、唯人君と付き合うことを決断できずにいた。
ただ、頷くだけなのに、それがどうしてか難しくて。好意に手を伸ばすだけのことに、躊躇ってしまっている。
他の男の子とも連絡は取っているし、唯人君とは別の何人かの男の子に誘われてデートもした。
唯人君のことをちゃんと考えようとはしているけれど、私は、元来、自分から強く手に入れたいと思ったり、絶対に付き合いたいと望む相手がいないときは、そういう風に恋愛を楽しむタイプだ。
和泉しゅうと会う前の自分に少しずつだけど戻れているような気はしていた。
ひとつだけ、前の自分と違うのは、ちぃ君のことは、もうほとんど考えることがなくなったということだけだ。
本当に、どうでもよくなった。
悲しきレーダーが、ようやく完璧に消失してくれた。傷が、癒えたのだと思う。
もしくは、新しい傷のせいで、気にすることができなくなったのかもしれない。