可愛くないから、キミがいい【完】
手を差し出されて、そっと自分の手を重ねる。
羨むような目線や、好奇の目線を四方から感じて満たされながら、唯人君の隣を歩く。
間違いなく、いま、私はみんなの目には幸せに映っていると思う。現に、この世界では、こういうものを幸せと呼ぶのだ。
「みゆ、今日、どうする?」
「うーん、どうしよう? 唯人君は何がしたいですか?」
「可愛いみゆといれるなら、俺は、なんでもいいよ」
唯人君は、相変わらず、結構くさいセリフを口にする。だけど、かっこいいから何でもいい。
「みゆもですよ?」と上目づかいをして、隣にいる唯人君を見上げたら、彼は少しだけ頬をゆるめて、きゅっと繋いだ手に力をこめてきた。
「甘いものも、みゆは、最近気分じゃないんでしょ?」
「そう、ですね。唯人君、ごめんね」
「プラネタリウムは? 今、確か、銀河鉄道とコラボしてる気がする」
「実は、今日、私の友達がプラネタリウムに行くらしくて。ちょっと気まずいかも、です」
「んー、じゃあ、何しような。俺は本当にみゆがいれば、何でも楽しめるけど」