可愛くないから、キミがいい【完】
「なんなんだよ」
「別に」
「お前、別にって口癖なん」
「みゆに口癖とかないけど」
「あそ」
「………みゆは、帰りのHRくらいから、一緒にクレープ食べに行くこと考え始めたくらいだから」
「あそ」
「あんたも、あそって口癖なわけ?」
「いや、違うけど」
ああいえば、こういう。
それでなぜか、また、この女のことが好きだな、と思う。
認めたら、そればっかりで、自分の気持ちが鬱陶しい。
付き合いたてで心が浮ついた感覚を、生まれてはじめて経験しているような気がする。
さすがにいま、浮かれすぎているのはバレたくなかった。
それを馬鹿にされたら、普通に腹が立つし、喧嘩になる気がする。
今のところ、バレていないだろう。
こーたには感づかれてしまっていたけれど、広野には、あまり俺の感情が伝わっていないような気がする。