可愛くないから、キミがいい【完】



「なんなんだよ」

「別に」

「お前、別にって口癖なん」

「みゆに口癖とかないけど」

「あそ」

「………みゆは、帰りのHRくらいから、一緒にクレープ食べに行くこと考え始めたくらいだから」

「あそ」

「あんたも、あそって口癖なわけ?」

「いや、違うけど」


ああいえば、こういう。

それでなぜか、また、この女のことが好きだな、と思う。

認めたら、そればっかりで、自分の気持ちが鬱陶しい。


付き合いたてで心が浮ついた感覚を、生まれてはじめて経験しているような気がする。


さすがにいま、浮かれすぎているのはバレたくなかった。

それを馬鹿にされたら、普通に腹が立つし、喧嘩になる気がする。


今のところ、バレていないだろう。

こーたには感づかれてしまっていたけれど、広野には、あまり俺の感情が伝わっていないような気がする。




< 332 / 368 >

この作品をシェア

pagetop